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一般社団法人特殊鋼倶楽部 清水会長2025年新年挨拶

 

一般社団法人特殊鋼倶楽部
会長 清水 哲也

 新年あけましておめでとうございます。2025年の年頭に当たり、新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は年初に起きました能登半島地震やその後の水害等により多くの方が被災され、地域に大きな被害がもたらされました。被災された全ての方々にお見舞いを申し上げますと共に、復興事業が早急に進展しますことを願っております。

 さて振り返りますと、2020年初頭から2023年前半まで続いた新型コロナウイルス感染症に

より世界経済は大きな影響を受けました。この感染症の収束後、日本経済は、緩やかに持ち直しつつあるものの、力強さに欠ける状況にあります。加えて、足元では、米国新政権発足に伴う貿易制限的措置の強化による影響、ロシアにおけるウクライナ侵攻の長期化や中東地域をめぐる情勢、中国経済の低迷の長期化とそれに伴う鉄鋼需給バランスの悪化、人手不足による生産活動への影響など、多くのリスクが内在する、不安定で不確実な環境下にあります。

 このような背景もあり、経済産業省が昨年末に公表した鋼材需要見通しによりますと、2024年度の我が国の粗鋼生産量は8,372万トン(前年度比3.6%減)、特殊鋼の熱間圧延鋼材生産量は1,530万トン(前年度比4.7%減)の見通しとなっております。

 言うまでもなく特殊鋼は「先端技術の融合体」であり、鉄鋼材料の中で独特の高い機能を有する材料であります。自動車をはじめとする輸送機器や産業機械、建設機械、工作機械等、幅広い産業分野の中核部品材料として使われております。また、家庭においてもキッチンや器具では広くステンレス鋼が使われるなど国民生活と密接な関わり合いを持つものであり、特殊鋼産業が人々の生活を支えているといっても過言ではありません。

 しかしながら、現在の特殊鋼業界は、需要面では国内市場の縮小・構造変化、供給面では、製造コストの増大、海外特殊鋼メーカーや他素材との競合激化など厳しい状況にあります。このため特殊鋼業界が更に発展を続けて行くためには、既存の製品分野の技術力・製品品質をさらに高度化することが大切でありますが、それに加え、これまで培って来た特殊鋼技術を核として、航空宇宙分野、海洋分野、エネルギー分野など今後も需要拡大が見込まれる領域に向けた研究開発、技術開発を推進することも極めて重要です。また将来の特殊鋼業界を支えるあらゆる分野での人材を確保・育成していくことも継続的に取り組んでいく必要があります。

 特殊鋼倶楽部としては、会員各社の今後の経営戦略の策定に資することを目的として、昨年は「水素の利用拡大に向けた取り組みと特殊鋼への影響」、「中国、欧州における電動車普及に伴う特殊鋼産業への影響」の2テーマの調査結果を会員各社に配付いたしました。また5年毎に実施している「特殊鋼の最終用途別需要実態調査結果」の報告書を出版したところであります。

 今後、特殊鋼業界においては、カーボンニュートラルへの対応、物流問題への対応、鉄スクラップの循環、等がますます重要な課題となってまいります。カーボンニュートラルに関しましては、引き続き世界各国の動向等を調査し、講演会や勉強会を開催していくこととしております。

 物流問題に対しては、昨年5月にいわゆる「物流改正法」が公布されましたが、今後はこの法律が順次段階的に施行されることになっており、特殊鋼倶楽部としても日本鉄鋼連盟と連携しながら対応を進めることとしております。

 また、今年からは、日本鉄鋼連盟、特殊鋼倶楽部、普通鋼電炉工業会、鉄リサイクル工業会の鉄鋼4団体が一体となって鉄スクラップの利活用拡大を進める活動を推進することとしております。この活動は昨年11月に経済産業省の「サーキュラーパートナーズ」の領域別ビジョン・ロードマップ検討WGの一つの「鉄鋼WG」として正式に採択されており、今後は高品位鉄スクラップの創生・循環・利活用拡大等のためのロードマップを策定することが期待されております。この活動を通じ、我が国のGX推進やサーキュラーエコノミー構築に貢献して参ります。

 さらに、特殊鋼の広報・PRのため、従来から特殊鋼倶楽部として毎年大阪と東京で開催される「高機能金属展」へ出展して参りましたが、今後は新たに名古屋においても出展をするべく準備をしているところであります。

 以上の活動に加え、工場見学会、学生や企業人材への講演など実施すると共に、広報や統計など基盤的な事業を着実に実施し、製販一体の団体であるという特徴を最大限に活かしながら、メーカー会員・流通会員が連携・協力して、「我が国特殊鋼の競争力の強化」のために取り組んでいくことが肝要と考えております。

 最後になりましたが、特殊鋼倶楽部会員各社のますますのご発展を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。

以上


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