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一般社団法人特殊鋼倶楽部 新年賀詞交換会開催

 一般社団法人特殊鋼倶楽部の新年賀詞交換会は、去る1月7日(火)午前10時より東京・ホテルニューオータニ"鶴の間"にて開催しました。

 当日はメーカー、商社、流通業者など業界関係者約700名が出席。

 挨拶に立った武田会長は「課題解決に連携を」と強調、続いて経済産業省製造産業局 宮川局長が来賓を代表して祝辞を述べ、髙木副会長の乾杯の音頭の後交換に移り、盛会のうちに散会しました。

 武田会長の挨拶は以下のとおりです。

 

平成26年新年挨拶
一般社団法人特殊鋼倶楽部
会 長  武 田 安 夫

 

 新年あけましておめでとうございます。平成26年の年頭に当たり一言、ご挨拶を申し上げます。

 本日はご来賓の経済産業省製造産業局の宮川局長様をはじめ、多数のご来賓にもご出席いただき、また、早朝から多くの特殊鋼倶楽部の会員にご参集をいただき、新春をともに寿ぐことができることを、特殊鋼倶楽部を代表して厚く御礼申し上げます。

 昨年一年を振り返りますと、今後の発展に期待が持てる転換点の年であるともに、これを確実にするためには山積する課題へ取組が不可欠であることがさらに認識された一年ではなかったかと思います。

 わが日本経済は、いわゆる3本の矢による経済政策、すなわち大胆な金融政策、機動的な財政政策、将来への成長戦略により、超円高という環境が是正され、足元では消費税増税を前にして建設、住宅、自動車等の需要増加もあり、企業業績も一部ではありますが改善の動きがあります。さらに2020年の東京オリンピック招致決定は将来への大きな発展につながり、デフレ脱却への期待が高まっておりますが、こうした動きが本年も継続することを願っております。一方、今後の経済に大きなインパクトを及ぼすエネルギー問題への取り組みをはじめとして、いわゆる6重苦の改善は今後に残されております。26年はこうした課題に正面から取り組んでいただきたいと考えております。TPP交渉につきましても本年が正念場かと思います。貿易立国として生きる我が国にとって、TPPは重要な課題です。現政権の決断とリーダーシップに期待しております。

 また、4月からは消費税が8%となり、来年10月には10%になる予定です。こうした機会に医療、年金、介護等の社会保障問題についても抜本的な取り組みを図っていただき、一生懸命頑張っている我が国のものづくり産業が将来に期待が持てる1年にしていただきたいと思います。

 

 日本の鉄鋼業、特殊鋼業の状況ですが、2013年は粗鋼生産で、前年比300万トン増加で、1億1000万tを超えることができました。特殊鋼鋼材生産につきましては、概ね2000万トンでこれも前年比10万トン程度の増加ということで、回復基調にあります。これは自動車をはじめとする需要業界の生産の回復によるものです。自動車については、足元の国内販売は、消費税増税前の駆け込み等もあり堅調に推移しております。また、輸出も北米市場向けを中心に増加傾向にあります。一方、中国、インド等の新興国では緩やかな需要拡大となっていますが、いずれにせよ特殊鋼最大の需要産業である自動車の生産拡大により、特殊鋼業界は回復に向かっていると言えます。一方建設機械は、中国市場は底をうったとの観測もありますが、資源国での鉱山機械の需要は低迷したまま回復がみられない状況です。

 総じて、特殊鋼鋼材生産は昨年及びリーマンショックのあった21年を除けば、2000万トン台の生産を維持しております。需要業界の海外進出が拡大する中でこれだけの特殊鋼生産を維持できたのは特殊鋼はまさに高度な機能商品であり、設計-加工-素材の木目細かい擦りあわせ技術の結晶で、技術を中核にした需要業界との強固なサプライチェインがあったからに他なりません。こうしたサプライチェインの重要性を改めて確認したいと思います。

 

 平成26年についての展望ですが、4月の消費税アップの反動による需要の縮小を懸念する声があります。全国に広がる電力問題、電力価格高止まりも心配です。アジアを中心に特殊鋼需要は更なる成長が見込まれますが、内需の拡大はあまり望めず、需要業界の海外展開により需要が空洞化する恐れもあります。世界的な鉄鋼生産能力の過剰が認められる中でさらなる能力拡大を目指す動きがあり、今後、世界的規模で鉄鋼通商問題が頻発する可能性は無しとはいえません。自動車のハイブリッド化の影響はそれほどでないにしても、電気自動車が進むと特殊鋼の需要そのものが減少するのではないかという怖れもあります。さらに言えば、少子高齢化の進展等でわが国におけるものづくりの基盤が維持できるのかという心配もあります。特に、電力を中心とするエネルギー政策については、特殊鋼業界の死活問題であり、昨年12月の総合エネルギー調査会で示された「原子力は重要なベース電源である」ことを早急に具体化し、安全性の確保を大前提に原発の早期再稼動が強く望まれるところです。

 以上のように特殊鋼業界には大きな解決すべき課題がありますが、我々日本の特殊鋼業界が発展せずしてものづくり産業の発展はありません。ものづくりのサプライチェインの起点として、特殊鋼の果たす役割は誠に大きなものです。年頭に当たり、こうした我々の前にある壁や困難を直視し、先輩諸氏から受け継いできた経験と叡智とでこれら諸課題を乗り越え解決していくことを宣言いたします。さらに将来の発展の源である技術力と人材のさらなる向上を図っていきたいと思います。

 

 特殊鋼倶楽部の活動は、こうした課題解決に貢献しなければなりません。

 そのための第一歩は会員との対話の強化です。一般社団法人としての倶楽部の第一のミッションは会員のお役にたつことです。そのためには常に会員との対話を図り、会員ニーズを的確に把握し、必要なアクションを取ります。

 第2に、会員の力を結集し、一人、或は1社ではなしえないことに挑戦していきます。先程申し上げたように多くの課題があります。これらに対処するためには会員が団結して、各社の力を結集することが必要です。そうした束ね役を特殊鋼倶楽部が果たします。

 第3に、これまでの活動にとらわれない新しい業界としてのビジネスモデルを考案し、各社と協力してさらなる発展基盤を構築します。グローバル経済の進行、ICTによるビジネス環境の急変等、新しい経済環境の中で新しい連携、協力が必要とされています。例えば、特殊鋼の製造、流通の各ステップの中でさらなる付加価値を乗せたサプライチェインを構築するためには大学等の知恵を拝借する必要もあろうかと思います。流通も含めた産学連携、これを技商連携と言っておりますがこうした連携を進めていきます。

 第4に、鉄鋼、特殊鋼のプレゼンスの向上を図ります。特殊鋼の重要性につきましては先程申し上げたところでありますが、こうした点がなかなか世間で理解してもらえないところがあります。特殊鋼の価値を正当に評価して頂くためにもプレゼンスの向上は必要です。

 第5に、本日お集まりの関係官庁とも連携を密にして国の政策や我々の活動を規定する課題の解決に取り組みます。我々だけの力では解決できない課題も多々あります。繰り返しになりますが、電力の安定供給、電気料金の高騰は我々にとって死活問題であり、また、日本の産業全体の国際競争力の低下にも繋がる極めて大きな問題であります。これらにつきましては是非政策的見地からもご支援をお願いしたいと思います。

 以上、縷々申し上げましたが、本年が会員とともに将来を切り拓く年になることを願っております。

 

 最後に特殊鋼倶楽部会員各社のますますのご発展を祈念いたしまして、私の新年の挨拶といたします。

 

        武田会長          経済産業省製造産業局 宮川局長 

 

        髙木副会長                会場風景 

 

        会場風景                会場風景 


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