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お知らせ

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一般社団法人特殊鋼倶楽部 清水会長2024年新年挨拶

 

一般社団法人特殊鋼倶楽部
会長 清水 哲也

 2024 年の年頭に当たり、ご挨拶を申し上げます。

 まず最初に年初に起きました能登半島地震により多くの方がお亡くなりになられたとのことであり、改めて、御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。

 振り返りますと、2020 年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大により世界経済は大きな影響を受けましたが、日本では昨年 5 月に感染法上の位置付けが 5 類に移行されたこと等もあり、日本経済は総じてみれば緩やかに持ち直しております。しかしながら、欧米における金融引き締めの長期化、ロシアのウクライナ侵攻の継続や中東情勢悪化などの地政学リスク、原油等の資源価格の高止まり、物価上昇による消費者マインドの冷え込み、中国の経済情勢および鉄鋼需給動向、人手不足による生産活動への影響などのリスクに直面しております。

 このような背景もあり、経済産業省が昨年末に公表しました鋼材需要見通しによりますと、2023 年度の我が国の粗鋼生産量は 8,810 万トン(前年度比 0.3%増)、特殊鋼の熱間圧延鋼材生産量は 1,599 万トン(前年度比 2.3%減)の見通しとなっております。

 言うまでもなく特殊鋼は先端技術の融合体であり、鉄鋼材料の中で独特の高い機能を有する材料であります。自動車をはじめとする輸送機器や産業機械、建設機械、工作機械等、幅広い産業分野の中核部品材料として使われております。また、家庭においてもキッチンや器具では広くステンレス鋼が使われるなど国民経済生活と密接な関わり合いを持つものであり、特殊鋼産業が人々の生活を支えているといっても過言ではありません。

 しかしながら、現在の特殊鋼業界は、需要面では国内市場の縮小・構造変化、供給面では、製造コストの増大、海外特殊鋼メーカーや他素材との競合激化など厳しい状況にあります。このため特殊鋼業界が更に発展を続けて行くためには、既存の製品分野の技術力・製品品質をさらに高度化することが大切でありますが、それに加え、これまで培って来た特殊鋼技術を核として、航空宇宙分野、海洋分野、エネルギー分野など今後も需要拡大が見込まれる領域に向けた研究開発、技術開発を推進することも極めて重要です。また将来の特殊鋼業界を支えるあらゆる分野での人材を育成していくことも継続的に取り組んでいく必要があります。

 特殊鋼業界も喫緊の課題として「物流 2024 年問題」に直面しておりますが、これにつきましては日本鉄鋼連盟策定の自主行動計画に基づいて対応を進めることが重要であります。さらに「スクラップリサイクル」も大切な資源循環の課題でありますが、これにつきましても経済産業省の政策等と連携しながら進めて行くことが必要と考えております。

 また、特殊鋼業界としましても「カーボンニュートラルへの取り組み」は重要な課題となっており、特殊鋼倶楽部としましても、2021 年7月に「カーボンニュートラル WG」を立ち上げ、ホームページにて情報提供をするなどの活動を行ってまいりました。昨年はあらためて会員会社へのアンケートを実施しましたので、その結果を踏まえ、今後は特に流通会員から強い要望のありましたカーボンニュートラル推進のための講演会や勉強会を開催していくこととしております。

 加えて、本年も引き続き「高機能金属展」への出展や広報や統計など、基盤的な事業を着実に実施し、製販一体の団体であるという特徴を最大限に活かしながら、メーカー会員・流通会員が連携・協力して、「我が国特殊鋼の競争力の強化」のために取り組んでいくことが肝要と考えております。

 最後になりましたが、特殊鋼倶楽部会員各社のますますのご発展を祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。

(大同特殊鋼(株)代表取締役社長)


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